アンコール・ワット
中庭左の聖池から望む
クメール語で『寺院(によって造られた)町』を意味するアンコール・ワットはクメールの輝かしい時代を創り上げた、スールヤヴァルマン2世によって1013年から1052年の間の約30年間の歳月をかけて建立されたといわれる、アンコール遺跡を代表する寺院です。アンコール・ワットは同王が篤信していたヒンズー教のヴィシュヌ神に世界最大の寺院を捧げる為、また王の死後の墳墓寺院とする為に西方浄土を拝するようアンコール遺跡の中では唯一西向き(他の遺跡は殆ど東向き)に建てられています。
※午前中は写真撮影の際、逆光になりますので、アンコール・ワット観光は午後が最適です。
一般的な観光ルートは、西正面参道からアンコール・ワットを取り巻く幅190mの環濠を超え西塔門へ。西塔門南側の通称「臣下の門」内にある高さ4mのビシュヌ神像をご覧頂いた後、塔門から中庭へ。正面に中央神殿を見据え、左右にある経蔵や聖池を眺めながら本殿に続く西参道を進み、西参道テラスを経て第1回廊へ。ここからここから壮大なアンコールの絵巻物語が始まります。西面南側にある古代インドの大叙事詩「マハーラバータ」のクライマックスの場面を皮切りに、スーリアヴァルマン2世の偉業を讃える。
女神デヴァターの浮き彫り
「王の回廊」、「天国と地獄」、ヒンズー教の天地創造神話「乳海攪拌」へと、時計と反対回り(左回り)に進んでいきます。次に十字中回廊、第2回廊を経て、中央神殿前へ。ここでしばらくご休憩頂いた後、希望者のみ高さ13mの急な階段を登って第3回廊のある中央神殿へ。
アンコール・ワットの見どころは、第1回廊壁面の浮き彫りの他に、柱や破風、格子窓に残された装飾や彫刻、特に美しい衣裳に身を包み、引き締まった肢体と花枝をかざしたデヴァダーと呼ばれる女神の端麗な容姿は、図像学的にもクメール独特のものといわれ評価も高く、必見です。
第1回廊西面南側・マハーラバータのレリーフ
【 第1回廊(200×180m)のレリーフ概要 】
西面南側:「マハーラバータ」―北インドの王族同士の物語
南面西側:「王の回廊」―スールヤヴァルマン2世の偉業を讃える
南面東側:「天国と地獄」―ヒンズー教神話から取材
東面南側:「乳海攪拌」―ヒンズー教の天地創造神話
東面北側: ヴィシュヌ神と魔族の戦い
北面東側:「ハリバンシャ物語」ー叙事詩マハーラバー付編
北面南側: 神々と阿修羅の戦い
西面北側:「ラーマヤナ物語」―ラーマ軍が悪魔を退治場面